イーサリアムメインネットの大型アップグレードの「デンクン」が、3月13日午後1時55分（UTC時間）に無事、展開された。

デンクンは、マージ以来最も期待されていたハードフォークであり、レイヤー2ネットワークのトランザクション手数料を大幅に削減し、イーサリアムの全体的なスケーラビリティを向上させることが期待されている。

一方で、テゾスブロックチェーンの共同創設者であるアーサー・ブライトマン氏はコインテレグラフに対し、デンクンアップグレードは、レイヤー2ソリューションのすべての短所を改善するわけではないと語った。

「デンクンアップグレードは、イーサリアム上のロールアップによって使用可能なデータをわずかに拡張する最低限のことを行い、L2ソリューションのトランザクションコストを下げるだろう。これは正しい方向への一歩だが、最終的にイーサリアム上に構築されたロールアップは非常にスループットが制約されており、極端な中央集権化対策を採用せざるを得なくなる」

デンクンのローンチは、2023年4月の上海アップグレードのほぼ1年後に行われた。上海アップグレードは、ネットワーク参加者がマージ後に初めて自分のイーサリアム(ETH)をステーク解除できるようになった。

デンクンハードフォークには、9つの異なるイーサリアム改善提案(EIP)が組み込まれている。アップグレードの名前は、イーサリアムの実行レイヤーのカンクンアップグレードと、コンセンサスレイヤーのデネブアップグレードを組み合わせたものから来ている。カンクンは、実行レイヤーでのトランザクションの管理と処理の改善に焦点を当て、デネブは、ネットワーク参加者がブロックチェーンの状態について合意する方法、すなわちコンセンサスレイヤーの改善を目指している。

デジタルファイナンスグループのCEO兼創設者であるジェームス・ウォー氏によると、アップグレードの最も注目すべき特徴の一つは、プロトダンクシャーディング（EIP-4844）による「ブロブ（blob）」の導入だ。

「（プロトダンクシャーディング）は、データの可用性を高めることによってレイヤー2のトランザクション手数料を削減することを目指し、イーサリアムをスケーラブルな決済レイヤーとして確立するための重要な動きだ」

しかし、約束された手数料の削減はイーサリアムメインネットのユーザーには影響しないと、3月6日のフィデリティ・インベストメンツのリサーチアナリスト、マックス・ワディントン氏が報告している。

「短期的には、この手数料の変更から利益を得たいユーザーは、イーサリアム上ではなくL2で取引することによって、ある程度の分散化とセキュリティを犠牲にしなければならない。これは間違いなく、より多くのユーザーを他の資産へと移行させるだろう。しかし、L2プラットフォームが成熟するにつれて、特定のアプリケーション目的でイーサリアム上で取引することは、特に高価値のトランザクションにおいて、中期的には最良のオプションとみなされるだろうと私たちは強く信じている」

イーサリアムメインネットのガス料金は高止まりしており、72gweiを超えている。イーサスキャンのデータによると、平均的なスワップには86.15ドルのガス料金がかかり、ノンファンジブルトークン(NFT)の販売では平均で145.60ドルのガスが必要だ。

イーサリアムメインネットにデンクンアップグレードが無事実装 image 0 Ethereum average gas fee. Source: Ycharts .