クラーケン（Kraken）、MiCA規制によりUSDTと4つのステーブルコインを上場廃止へ

クラーケンが5つのステーブルコインを上場廃止へ

大手仮想通貨取引所 クラーケン （Kraken）は、EU（欧州連合）のMiCA（暗号資産市場）規制に準拠し、5つのステーブルコインのサポートを削除する。

クラーケンは、EUのMiCA規制に準拠するため、EEA（欧州経済領域）のユーザー向けにテザー（Tether/USDT）を含む5つのステーブルコインを欧州経済領域から 上場廃止 する。上場廃止は、オーストリア、キプロス、チェコ、マルタ、ポルトガル、スペイン、スウェーデンを含む30カ国以上のヨーロッパの顧客に影響することが分かっている。また、同取引所は上場廃止のプロセスによって仮想通貨規制要件を満たし、欧州の顧客に“優れた取引体験”を提供できると主張している。なお、上場廃止は2025年2月13日（木曜日）に開始され、2025年3月31日（月曜日）までにステーブルコインが完全に削除されるという。

上場廃止されるトークンは以下の5つだ。

• ペイパルUSD（PayPal USD/PUSD）
• トゥルーUSD（TrueUSD/TUSD）
• テザーユーロ（Tether EURt/EURT）
• テラクラシックUSD（TerraClassic USD/USTC）
• テザー（Tether/USDT）

これは、グローバル資産管理責任者のマーク・グリーンバーグ（Mark Greenberg）氏が、取引所は欧州でUSDTを上場廃止する予定はなく、新規制の下でトークンを提供する方法を検討すると述べてから数カ月後のことだ。

5つのステーブルコインのサポートは段階的に削除

同取引所は、5つのステーブルコインのサポートを徐々に削除していく計画だ。

• 2025年2月13日：上場廃止プロセスが開始され、ステーブルコインの証拠金取引は EEA クライアント向けに「削減のみ」モードに切り替わる。ユーザーは新しいポジションを開くことはできないが、既存ポジションを閉じることはできる。上場廃止プロセスが開始され、これらのステーブルコインの証拠金取引は EEA クライアント向けに「削減のみ」モードに切り替わりる
• 2月27日：ステーブルコインは「売りのみ」モードに移行。ユーザーはこれらのステーブルコインで新しいポジションを開けなくなる。ここでは、プラットフォームは引き続きトークン取引を許可するものの、ユーザーは入金アドレスの生成はできない
• 3月17日：これらのステーブルコインに関連するこれらのステーブルコインに関連する残りのマージンポジションは自動的に閉じられる
• 3 月 24 日：3月24日午前7時（東部標準時）に影響を受ける資産のスポット取引は終了し、残りの注文はすべてキャンセルされ、他のコインまたは法定通貨へのすべてのオープンオーダーを正式にクローズする
• 3月31日：すべての未払いの顧客保有は、対応する市場価値のステーブルコインに変換され、ステーブルコインの残りの保有分は、自動的に準拠資産に変換される

2024年4月、テザーのパオロ・アルドイーノ（Paolo Ardoino）CTO（最高技術責任者）は、規制変更を受けてヨーロッパでの仮想通貨市場をあきらめる可能性があることを示唆し、ヨーロッパがステーブルコインに非常に制限的な措置を講じていることを指摘したうえで、次のように述べている。

ヨーロッパに関する限り、MiCAが歓迎される規制枠組みの出現を促進できるとは思いません。明らかに、ヨーロッパは、特に個人投資家にとってアクセスを大幅に制限する規制のある仮想通貨を望んでいないというメッセージが送られている。

クラーケンの決定は、ステーブルコインの発行者と取引所に対してより厳しい規則を導入する新MiCAフレームワークの下、欧州の規制当局からの圧力が高まったことを受けてのものであり、この動きはクラーケンだけではなく、この地域のより広範な傾向を浮き彫りにしている。