証券アナリストは、コインベースとロビンフッドが第4四半期の決算で市場予想を大幅に上回ったことを受け、両社の目標株価を引き上げた。

2024年の最後の3カ月間で仮想通貨取引高が急増し、コインベースとロビンフッドの収益と利益が予想を超える水準に達した。ロビンフッドは主に株式取引プラットフォームとして知られているが、現在、仮想通貨事業への投資を拡大している。

第4四半期、コインベースは1年以上ぶりに過去最高の収益を 記録した 。これは、米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことによる仮想通貨市場の活性化が影響している。ロビンフッドも予想を上回る決算を発表し、仮想通貨の収益は前年比で 700%増加した 。

JPモルガンのアナリストは2月14日のリサーチノートで次のように述べている。

「第4四半期、そして2024年全体は、仮想通貨エコシステムにとって極めて重要な転換期だった。時価総額が爆発的に拡大し、取引高が急増、新規参入者が増え、規制環境が一変した」

仮想通貨市場の急成長は「米国の選挙後の市場楽観ムードによって加速した」と、仮想通貨リサーチ企業コイン・メトリックスは2月11日に指摘している。トランプ氏は「米国を世界の仮想通貨ハブにする」と公約し、業界に友好的な人物を主要機関のトップに指名している。

過去12カ月間で、コインベースの株価は約112%、ロビンフッドの株価は約365%上昇している。

目標株価の引き上げ

JPモルガンおよび米国の証券リサーチ会社USタイガー・セキュリティーズのアナリストは、コインベース(COIN)の目標株価を、それぞれ344ドルと300ドルに引き上げた。以前の目標はそれぞれ264ドルと265ドルだった。

コインベースの 2月13日の決算報告 によると、第4四半期の総収益は前期比88%の23億ドルに達し、純利益は13億ドルでなった。いずれも市場予想を大幅に上回った。

第4四半期のコインベースの個人投資家向け取引高は940億ドルに達し、機関投資家向け取引高は3450億ドルと過去3年間で最高水準を記録した。

JPモルガンのアナリストは「仮想通貨市場が急速に活性化し、トレーダーが再び市場に戻ってきたことが、取引高の増加を後押しした」と述べている。

コインベースは、取引手数料収入だけでなく、デジタル資産のカストディ(保管)、ステーブルコインのオンランピング、仮想通貨ステーキングの提供などのサービス収益も得ている。

規制環境の変化によってコインベースの競争は激化する可能性があるが、JPモルガンは「COINは、より多くの仮想通貨市場の参加者や伝統的金融のプレイヤーの参入を、エコシステム全体にとってプラスと捉えている」と指摘している。

一方で、JPモルガンはロビンフッド(HOOD)の目標株価を39ドルから45ドルに引き上げた。仮想通貨取引収益がロビンフッドの事業において重要な位置を占めるようになってきたためだ。

JPモルガンのアナリストは2月12日のリサーチノートで「ロビンフッドの第4四半期の仮想通貨取引収益は3億5800万ドルに達し、総収益の約35%を占めた。これは過去最高の割合である」と指摘する。「通常、仮想通貨収益は四半期の総収益の10~20%程度を占めるが、今回は異例の増加だった」

ロビンフッドの仮想通貨収益はさらに成長する見込みだ。同社は、取扱トークンの種類を拡大し、 2024年6月に発表した 仮想通貨取引所ビットスタンプの買収を完了させる予定である。

また、米国の主要取引所であるCMEグループも、2024年第4四半期に仮想通貨取引高の過去最高記録を報告している。同社は2025年にさらなる仮想通貨関連商品の追加を計画している。